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私たちは2人で、真っ赤なりんご飴にかじりついた。

「……美味しい!」

「そうだね。ここにして正解だったよ」

艶々として真っ赤な、綺麗なりんご飴。

食べるのがもったいないぐらいだった。

でも、食べないのももったいない。それに、どうせもう一口食べている。

私は再びりんご飴にかじりついた。

うん、やっぱり美味しい。

勇哉とここに来れて、よかったなぁ。


「ねえ、そういえばさ、花火はまだ始まらないの?」

「まだみたいだ」

お祭りの喧騒の中、1組のカップルがりんご飴を食べているならば別にいいだろう。だけど、もし勇哉の姿が周りの人に見えないのだとしたら……私は誰と話しているのかと変な目を向けられるに違いない。実際、疑わしげな目線がこちらへと飛んできている。

勇哉もそのことを気にしていたのだろうか、ふと、私の名を呼んだ。

「……ねえ、友香」

「なあに?」

「僕、2人きりで花火を観れる特等席を知っているよ」

「本当に?どこ?」

「ついてきてよ」

私は勇哉に連れられて、特等席へと向かった。


その特等席は、高台にある神社だった。

確かにそこには誰もいない。

私たちは境内に座った。

「たしかに、ここなら2人きりになれるね」

「そうでしょ?花火も綺麗に見えるんだよ」


不意に、お腹の底に響くような、ドンっという音がして、空に光の花が咲いた。

「わぁ……!」

「綺麗!」

私たちは思わず声を上げていた。

ドン、ドン、と花火は上がっていく。

その度に、空に色とりどりの花が咲いた。

「本当に綺麗だね、勇哉」

「そうだね。でもね」

——ドンッ

「友香のほうが綺麗だよ」

「本当?嬉しい」

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