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Ⅳ
会場に着いたのは、それから少し時間が経ってからだった。人混みに揉まれそうになりながら、2人で当てもなく歩いていた。
「やっぱり徒歩は無茶だったかな?」
「まぁ、でもこのぐらいの距離なら行けないわけでもないよね。でも、多分一駅分ぐらいは歩いてるよ?」
「そうだね。流石に少し疲れたかな」
そう言って、勇哉は笑う。
いつの間にか、つられて私も笑っていた。
「ところでさ、友香はお腹すいてないの?」
勇哉にそう訊かれた。
屋台で何か買おうか、と言う提案だ。
でも、今はそんなにお腹は空いていない。
「……そこまででもないかな。でも……せっかく屋台があるところにきたんだし、やっぱりりんご飴とか食べたい!」
「じゃあ、りんご飴を買いに行こうか」
「そうだね」
私たちはりんご飴の屋台を探した。
「——あ、勇哉、あったよ!」
「こっちにもあるよ!……うーん、どうしよっか」
「勇哉が選んだ方にしよ!ちっちゃいのが売ってるの、そっちだけみたいだし。そこまでお腹すいてないから、小さいのがいいな」
「じゃあそうしようか」
そして、屋台に向かった。




