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帰り道でのことだった。

駅へと向かう路地を、2人で歩いていた。

私は律儀に道の端を歩き、勇哉は車通りが少ないからと、車道の中央を歩いていた。

「危ないよ、勇哉」

「このぐらい大丈夫ですよ、友香先輩」

ひやひやしながら私が注意しても、勇哉は平気そうに歩いていた。


そんな時、不意に私が後ろを振り向くと、猛スピードで走る車がすぐそこにいた。無音で走る車だったから、勇哉は全く気付かなかったのだ。

「……勇哉!」


私は勇哉を突き飛ばした。勇哉は飛ばされた。街路樹に頭を打ち付けたのだろうか。

勇哉は、動かない。

私はというと、勇哉のことを強く押したがために前によろめいて、すんでのところで車に当たらず、無傷だった。


(嘘でしょ?)

思考が働かなくなってくる。

目の前が、ぼんやりとして来て、遠くの方から救急車のサイレンが聞こえてきた。


「もう間に合わない」

「多分死んでるぞ」


そんな通行人の声が聞こえる。

私は悲しい事実を悟った。


次に視界がはっきりした時、勇哉はいなかった。

(勇哉は、死んでしまった)

私が突き飛ばして、頭を打ったせいで。

私はこうやって助かってしまった。強く押したがために前によろめいて、すんでのところで車を避けてしまった。


(私のせいで、勇哉が死んだ)

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