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Ⅷ
あの路地で勇哉の手が温かかったのは、私の手が冷たかったからだ。
「……路地で友香の手を握った時……とてもふわふわしていて、強く握っていても、頼りなくて怖かった……友香がしっかり握ってくれているのは分かったけど……でも、怖かった……」
ドンッ!
屋台でりんご飴を買ったのは、勇哉だった。
私はその後ろにいた。
勇哉がりんご飴を買う様子を見て、屋台のおじさんには霊感があるのだと思い込んで、納得していた。きっと霊感があるから、勇哉のことが見えるのだろう、私は別の客だと思われたのかな、と。
でもそうではなくて、私の姿が屋台のおじさんに見えていなかったのだ。つまり、屋台のおじさんには霊感なんてなかったのだ。
「友香がりんご飴を買うって言い出すんじゃないかと思ってひやひやしたよ。結果的に僕が買えたから良かったけど……」
ドドン!
「そっか……そうだったね」
ドドン!ドン!
「あの事故で死んだのは……私だったんだっけ」
ドン!
『ドン!』
花火の音と、あの車——私を轢いていった車の音が被って聞こえてきた。




