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さよならの夜 作者:中川あき
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11/12

あの時、私たちは駅へと向かう路地を2人きりで歩いていた。
私は律儀に道の端を歩き、勇哉は車通りが少ないからと道のど真ん中を歩いていた。
「危ないよ、勇哉」
「このぐらい大丈夫ですよ、友香先輩」
不意に私が後ろを振り向くと、猛スピードで走る車がすぐそこにいた。無音で走る車だったから、勇哉は全く気付かなかったのだ。
「……勇哉!」
私は勇哉を突き飛ばした。それと同時に、車が私に衝突した。勇哉が飛ばされて、街路樹に体を打ったのが見えた。その後感じたのは……とてつもない痛み。既に目の前が真っ暗になっていた。
(勇哉、街路樹にぶつかったけど……大丈夫だったの?)
朦朧とする意識の中、考えた。
(あのまま頭を打って死んだりしていないよね?)
遠くの方から救急車のサイレンが聞こえてきた。
「もう間に合わない」「死んでるぞ」
そんな通行人の声が聞こえる。
その時、ふっつりと意識が切れた。
気がついた時にはあの街路樹の前にいた。
勇哉は、いない。
そう気付いた時、私の記憶は書き換えられてしまった。
(……勇哉は、死んでしまった)
私が突き飛ばして、頭を打ったせいで。
私はこうやって助かってしまった。強く押したがために前によろめいて、すんでのところで車を避けてしまったのだ、と。
(私のせいで、勇哉が死んだ)
私は、そう思い込んでしまったのだ。
そして私は、あの路地を彷徨っていた。
そんな私を勇哉が見つけてくれて……

ドン!ドドン!

「……死んだのは、私」
「そうだよ、友香」
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