乾いた袋の底
倉庫で麦袋を移していると、一袋だけ底が湿っていた。雨漏りは見当たらず、エダは屋根を見上げた。ギルが床板を外すと、下の土に水が溜まっている。春に排水を直したつもりだったが、別の場所から流れ込んでいたらしい。ミラは残りの袋も開いて確かめた。
湿っていた麦は食料に使えるか、ニーナが匂いや状態を調べた。怪しい粒は混ぜずに分け、使えるか分からない袋には赤い札を付けた。サラは共同鍋へ回したがったが、判断が付かないうちは使わない。急いで食べることと、安全に食べることは同じではない。
排水の原因は、倉庫の裏へ積んだ新しい薪だった。雨水が流れる溝を塞ぎ、床の下へ回っていた。薪を運んだのはオスカーの班だと分かり、ハロルドが責める言葉を口にした。ミラは責任を追及する前に、溝の通り道を皆で確かめようと提案した。
薪は移され、溝には落葉が溜まらないよう粗い格子が付けられた。格子を掃除する係まで決めて初めて、対策になる。オスカーは雨の日に一度試そうと言い、ギルは床板をすぐ戻さず、乾くまで開けておいた。
薪を積み直したオスカーは、晴れた日に倉庫の裏へ回り、溝の底を指でなぞった。落葉の下はまだ湿っている。彼は格子だけでなく、雨が降るたびどこを見ればよいかギルに尋ねた。仕事を頼まれた時に動くより、変化を自分で見つけられるほうが続けやすい。二人は木札へ短い目印を書いた。
エダは傷んだ麦の重さを記し、失った分を隠さなかった。村人が努力しても、見落としは出る。ミラは帳面を閉じる前に、倉庫の裏へ誰が薪を置いたのか聞かなくても分かるよう、置き場の図を貼った。人を責める紙でなく、次の間違いを減らす紙だった。




