粒の陰
収穫した麦を乾かす広場へ、鳥が集まるようになった。子どもたちは追い払う仕事を買って出たが、日差しの強い時間に立ち続けてふらついた。サラはすぐ止め、木陰へ座らせた。ミラは鳥を追う工夫より先に、干す場所を変えられないか考えた。
ギルは古い網を張り、干し棚の上へ軽い覆いを付けた。ところが風が通りにくくなり、下の麦が湿ったままになる。エダは作業を続けるべきか迷ったが、ニーナが麦の匂いを確かめ、早く戻したほうがいいと言った。鳥を防ぐためにカビを育ててしまっては困る。
棚を広げる場所は少なく、道の脇へ置けば荷車の通行を妨げる。セランは折り畳める台を作ろうとしたが、金具が足りなかった。結局、村は干す量を一度に減らし、日を分けて作業することにした。手間は増えたが、危険な場所へ子どもを長く立たせずに済んだ。
ハロルドは鳥が近づく時刻を見て、朝に多いことへ気づいた。オスカーは畑の外にある実のなる木を指し、鳥がそこから飛んで来ると話した。枝を切る案も出たが、森の実を食べる生き物の暮らしまで一度に変える必要はなかった。
鳥を追う鈴をつける案も出たが、音が夜番の合図と紛らわしいと言われた。ルークは祭りで使った小さな鈴を持ってきたものの、ハロルドは畑へ付けないと決めた。知らせる音が多すぎれば、肝心な時に皆が振り向かなくなる。村で共有する合図を守ることも、麦を守ることと並んで大切だった。
夕方、鳥が一羽、空いた干し棚へ降りた。ルークは追い立てず、遠くから眺めていた。ミラは鳥が好きでも麦を守る必要があると知っていた。だから人の仕事を工夫し、鳥と争う場面を少し減らす。村にとっての収穫は、穂を刈った後も続いていた。




