早穂の重さ
早く熟す麦の穂が色づき、ハロルドは試験区画の一部を刈り取った。まだ村全体の収穫ではない。水を逃がした畝と藁を敷いた畝で、穂の重さを比べるためだった。ミラは束を数えたが、ハロルドは「同じ束でも粒が違う」と注意した。
ヨレンの水車で少量を挽く前に、乾かしてから粒の重さを量った。途中で鳥に食われた畝もあり、見た目の青さと収穫は一致しない。ハロルドは天候と土の違いを細かく話し、ミラは聞き取れる範囲だけ書いた。難しい理屈を知ったふりはしなかった。
結果は少しよくなった区画と、ほとんど変わらない区画に分かれた。村人の一部は成功だと言い、別の者は手間が増えただけだと不満を漏らした。オスカーはどの畝で水が溜まったかを示し、来年も同じ土とは限らないと付け加えた。
ルークが穂を両手へ載せて「これで冬は大丈夫?」と尋ねた。ミラは首を振った。「まだ分からないよ」。幼い子には冷たい返事かもしれない。けれど根拠のない安心を渡せば、大人も備えを忘れる。ハロルドは少年へ乾いた穂を一つ渡し、粒の数を数える仕事を頼んだ。
脱穀した粒を量る秤は、春にフェルンが運んだものだった。まだ古い秤と少し目盛りが違うため、二つとも並べて記録した。ハロルドは面倒だと言ったが、同じ日に量った結果なら比べやすい。数字の正確さは立派な道具一つで決まるのではなく、使い方を揃える手間にも支えられていた。
夕方、エダは試験区画の表を倉庫に掲げた。数字には雨の日も暑かった日も含まれている。ミラはそこへ「ほかの畑にはまだ広げない」と書いた。麦が育つ速さに合わせて、村の判断も少しずつ熟していけばよかった。




