石工の手
村の井戸を見た石工のバルドは、縁の石だけ直しても下の目地が崩れると言った。彼は隣の郡を回る職人で、フェルンの荷車に便乗していた。村に石材があるか尋ねられたミラは、古い採石場の話をした。バルドは地図を見るなり顔をしかめた。「道がない。石を掘るより運ぶ方が骨だ」。
採石場は村から半日歩く丘の裏にあり、先代が崖崩れで使うのをやめていた。ギルは岩肌を調べようとしたが、バルドが止めた。石切りの経験がない者は割れ目を見誤る。見習いを連れていない職人一人では、安全に採れる量にも限りがある。ミラは最初の予定から、石を運ぶ荷車の数を消した。
バルドは倉庫の脇に積まれた古い敷石を見つけた。厚さが揃わないので井戸の縁には使いにくいが、崩れた水路の脇なら役立つかもしれない。オスカーが水の向きを示すと、職人は石を置く場所をいくつか変えてみた。余った物にも使い道はあるが、合う場所を選ばなくてはならない。
報酬の相談になると、ベルクは冬の食料を渡すつもりでいた。バルドは現金も必要だと言った。旅の職人には別の村で払う宿代や工具代がある。ミラは手持ちの銅貨と仕事の範囲を示し、最初は点検と簡単な補修だけを頼むことにした。
バルドの工具箱には、短くなったのみが幾本も並んでいた。捨てないのかとルークが尋ねると、狭い隙間には短い方が届くと教えてくれた。少年は道具の先を触ろうとして止められ、代わりに木の棒で石の目地を指した。見た目が古くても、役目を終えていない道具がある。
帰る前、バルドは井戸の危険な石へ白い印を付けた。工事は終わっていない。だが誰が触れば危ないか、ようやく目に見える。ミラは職人の背中を追って、次の訪問日を確かめた。守りたいものが増えるほど、知らない技を持つ人の力も必要になっていた。




