石を探す午後
境界石の探索に、ベルクとグレサの長老が一緒に出た。二人は会えば昔の税を巡って口論していたが、今日は流された石を探す同じ仕事がある。ミラは見つからなかった時のため、今ある石の位置を先に測った。木の枝に縄を結び、歩数だけでなく坂の傾きも書き留めた。
川辺の草を刈ると、一つ目の石が泥の中から現れた。表面には古い刻みがあったが、文字は欠けて読めない。ベルクは自分たちの印だと言い、長老は同じ刻みを隣村でも使ったと答えた。ミラは誰のものか結論を出さず、石の向きと位置だけを描いた。
昼過ぎ、グレサの少女が二つ目を見つけた。土を掘ると石は倒れており、根の下へ半分入っていた。動かすには男手が必要だったが、エダは持ち上げないよう頼んだ。今の場所が何かを示しているかもしれない。石を動かせば証拠も変わる。
両村は夕方に地図を持ち寄り、古い水路の跡を確かめた。畑の持ち主の利害も違うため、一日で話はまとまらない。ミラは農作業へ戻りたい人を引き留めず、次の調査日を決めた。境界が曖昧なままでも、種をまいた畝の世話は待ってくれない。
石を見つけたグレサの少女は、褒美を求めなかった。ただ昔、祖父がそこへ腰掛けて休んだのを覚えていたという。長老は驚き、同じ場所で麦束を積んだ話を始めた。地図には残らない小さな記憶も、道を探す手掛かりになった。ミラは少女の話を名前付きで記す前に本人へ確かめた。
帰る時、長老はベルクに「お前の父親も石を探していた」と言った。ベルクは苦笑した。「俺らも同じことをしているな」。村の境は昔からあったが、その線を守る人は代わっていた。ミラは二人の背を見て、古い争いの中にも今の暮らしを守る道を探した。




