↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
79/192

煙の通り道

ルークの家の煙突を直す相談に、ギルは慎重だった。古い梁へ穴を広げると、屋根が弱るかもしれない。ミラは煙を出す工事が別の危険を生まないよう、セランと一緒に天井を確かめた。煤で黒くなった板の上には、冬に積もった乾いた藁が残っていた。


火の危険を知ったサラは、共同鍋のかまども点検してほしいと言った。次々に頼みが増えてギルは顔を曇らせた。「俺は三人いない」。ミラは予定の順番を勝手に入れ替えず、急ぐ理由を家ごとに聞き直した。火の回りが早い場所を先に、見た目だけの不便は後へ回す。


ギルは煙突の外側に細い管を追加する案を出したが、陶器が必要だった。近くの焼き物師は高い値を付ける。セランが使わなくなった土管を調べると、小さなひびが見つかった。安くても熱で割れるなら使えない。結局、村にある石材を組み直す方法が選ばれた。


作業の日、ルークは自分も屋根へ上がろうとした。ギルは断り、下から道具を渡す係を頼んだ。子どもを締め出すためではない。落ちた時に誰も受け止められない場所へ、役目という名目で上げないためだった。ルークは不満そうにしながらも道具の名を覚えた。


煤を払うと床へ黒い粉が落ち、ルークはそれを指で伸ばそうとした。ニーナは手を洗わせ、古い布で包んで外へ運んだ。工事の汚れで病人の部屋をまた苦しくしてはいけない。家族は修理の間、オル婆の部屋で待たせてもらい、窓から職人の手元を眺めていた。


夕方、煙は前より真っ直ぐ外へ出た。まだ風向きによって戻る日があるだろうとセランは言った。ミラは工事が終わった印を付けず、寒い日にも確かめる欄を残した。家の中で息をすることは毎日のことだった。見えない煙を減らす仕事も、村の暮らしの一部になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。