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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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町医者の条件

祖父を診た町医者は、すぐ戻すのは危険だと言った。熱は高くないが肺の音が悪い。宿に泊まる金は足りず、付き添いの母は青ざめた。オスカーが村へ戻って知らせると、ベルクは共同の備蓄金を使うか会議を開いた。帳面を預かるエダは、冬用の塩を買う分が減ることを指摘した。


ミラは貧しい家だけに負担を押し付けたくなかったが、誰の病気にも無制限に金を出せるわけではない。サラは今ある金を全部使い切る前に、村で支えられる日数を決めてはどうかと言った。皆で相談し、当座の宿代と追加の診察代を共同金から立て替えることになった。


支出は広場に書かれたが、病人の名や症状を勝手に公表しない。何にいくら使ったかだけ見えるようにした。反対する者もいた。エダはその声を避けず、支援の範囲を次の会議で見直すと約束した。今日の苦しさで決めたことを、そのまま永久の決まりにはしない。


町医者は綺麗な水を飲ませ、煙の少ない部屋で休ませるよう話した。戻ったオスカーから聞いて、ギルはルークの家の煙突を見た。穴が小さく、煮炊きの煙が部屋へ戻っている。治療は町だけで終わらない。セランは煙の流れを確かめ、直せるところから手を付けた。


宿の女将は村から来た人が銅貨を数える様子を見て、空いている小部屋を少し安く貸した。医者の家に近いからではなく、階段が急で客が嫌う部屋だった。オスカーは先に階段を確かめ、付き添いの母が安全に歩けるか尋ねた。安い場所にも理由があることを、村の人たちは忘れないようにした。


数日後、祖父の咳は少し落ち着いた。完治ではないが、家族は胸を撫で下ろした。ミラは共同金の残高を確かめ、出した銅貨を惜しむのでなく、次に同じことが起きても困らない仕組みを考えた。病人が戻れる家を整える仕事は、もう始まっていた。

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