市の秤
隣町の市は人と荷車で混んでいた。ミラはフェルンの後ろに付いて歩き、野菜の籠を踏みそうになって慌てた。出店を開く前に、役人へ場所代を支払う。渡された木札には店の番号だけが記され、売る品の数までは保証されない。レアはさっそく隣の店と同じ値段で袋を売ろうとした。
しかし隣の袋は布が薄く、ハルヴェの袋は麻糸を二重に使っている。見た目だけで値を揃えれば、針仕事の代金が消える。リネは客が近づくたび俯いたが、レアは袋の底を見せて強度を説明した。一人の商人が三枚買い、残りは昼まで動かなかった。
昼過ぎ、穀物を扱う男が計量を頼んできた。ミラの秤と男の秤では重さが違う。相手はハルヴェ側の器具が間違っていると言い張った。フェルンは市場に置かれた共通の分銅を借り、両方を比べようと提案した。男は顔を曇らせたが、見物人の前では拒めなかった。
結果は二つとも少しずつずれていた。片方だけを悪者にする話ではなかった。ミラはその場で目盛りの差を記し、売る時には買い手に見せた。気にしない客もいれば、それなら別の店で買うという客もいた。曖昧さを隠さないことは、必ずしも売上につながらない。
市では少年がレアの袋を一枚手に取り、母へねだっていた。母は値を聞くと首を振ったが、少年は底の二重縫いを指でなぞり続けた。レアは値引きをせず、壊れにくい理由を話した。二人は買わずに去った。それでも彼女は、作った物を人に見てもらえたことを喜んでいた。
夕方、売れ残った袋を数えると、出店代を払ってもわずかな銅貨が残った。レアは喜び、リネは疲れ切っていた。ミラは市の賑わいより、袋を買った人が何に使うと言っていたかを覚えていた。品物は村から出ても、次に役立つ場所があった。




