藁の行き先
畑へ敷いた藁が予想より早く減り、家畜小屋の寝藁を替えられないという声が出た。ハロルドは畑で使えば収穫を守れると主張し、山羊を飼うニコは濡れた床では病気が出ると譲らなかった。ミラは余っていたはずの藁を誰がどこへ使ったか、もう一度数え直した。
冬の間に傷んだ屋根の修理にも藁を使っていた。乾いている束と湿っている束は同じ数でも役目が違う。ニコが指摘すると、ハロルドは自分が畑へ持っていった束を黙って戻した。しかしその束は一度土に触れていたため、寝藁には向かなかった。
ギルは屋根裏の古い簾を畑の試験区画へ回せないか提案した。日を遮りすぎれば作物が弱るので、オスカーが風通しを見ながら置いた。ニコには乾いた藁を優先し、畑には草刈りの後に乾かした草を少量ずつ試すことにした。誰かの仕事を減らすために別の家の暮らしを危険にしてはいけない。
夕方、ハロルドは山羊小屋へ行き、濡れた床板を見た。初めて匂いに気づいたようで、ニコに「悪かった」とだけ言った。ニコはすぐ返事をせず、家畜の脚を拭く布を差し出した。ミラは二人の間へ入らなかった。土の上の工夫も、小屋の中の工夫も、それぞれ人の経験から来ている。
ニコの山羊の一頭は新しい敷料を嫌がり、鼻先で何度も床を押した。ニコは無理に慣れさせず、古い藁を少し混ぜて様子を見た。動物の具合も帳面だけでは分からない。夕方に食べ残した草の量を見て、翌日は別の床へ戻すことにした。
翌週の藁の配分は、家ごとの必要量を聞いてから決めることになった。倉庫の表には乾き具合の欄が増えた。ミラは余る物など初めから少なかったのだと感じた。物を大事にするには、誰が何のために使っているのかを知る必要があった。




