一袋の賃金
山道を担いだ粉袋が帰りの商人へ渡り、運搬役の三人は銅貨を受け取った。ところが一人だけ数が少ない。年若いロイは遅く歩いたからだと、仲間に言われていた。本人は怪我を隠して最後まで荷を運んだという。ミラは歩く速さと運んだ重さを帳面で見比べたが、どちらを賃金の基準にしたのか書かれていなかった。
エダは雇う前に約束を決めるべきだったと認めた。ベルクは村の仕事だから助け合えばよいと口にしたが、ロイの母が「うちも冬の塩を買う」と返した。善意で済ませた曖昧さが、弱い家へ寄ってしまうことがある。ミラは決め直す前に三人の話を別々に聞いた。
結局、今回の取り決めは同じ荷数なら基本の銅貨を等しくし、追加の荷は別に数えることとなった。途中で怪我をした人の持ち分を減らすのではなく、そのための予備の担ぎ手を雇えるかを次に考える。少ない分は雇い主のヨレンが補った。自分の見積もりが甘かったと、彼は頭を下げた。
ロイは銅貨を受け取ってもすぐには帰らず、傷んだ足首をサラに見せた。腫れは軽く見えても、荷を担いで山を越すには危ない。次の便からしばらく外れると聞いて、不安そうな顔になった。セランが車輪の木片を磨く仕事なら座ってできると声を掛けた。働けない人を無理に荷役へ戻す必要はない。
運搬役の中には、歩きながら歌うのが好きな女もいた。彼女はロイが遅れた時、荷を持とうとしたが、転びそうになったという。助け方にも場所の条件がある。次の便には休み場に予備の縄と敷物を置くことになったが、誰が運ぶかはまた相談した。
その晩、エダは運搬の紙に新しい欄を作った。荷数、道の状態、休んだ回数、支払い。ミラが最後に加えたのは、断っても不利益がないと確認する欄だった。書くだけでは人を守れない。だが何も書かないより、次に話し合う手掛かりが残った。




