橋のこちら側
壊れた橋の前で、ヨレンの弟が背負った粉袋を下ろした。夏の市へ運ぶには対岸へ出なければならないが、遠回りの山道では粉が雨を吸ってしまう。セランは車輪を細くした荷車なら通れると言った。ミラは渡す物の重さを聞き、橋板の下を覗いた。木を叩くと、乾いた響きと湿った響きが入り交じった。
ギルは縄を腰に巻き、安全な岸から橋脚を見た。流木が引っ掛かり、片側の石積みだけが削れている。橋の上を空荷で歩けたとしても、粉袋を積んで耐えるとは限らない。村長ベルクは通行止めを継続した。急いでいる者には嫌われる判断だった。
そこでヨレンは粉を小袋に分け、峠の道を人の背で運ぶ案を出した。サラは共同鍋に使う分を先に残すよう頼み、エダは運搬役へ渡す食事と賃金を計算した。道を知るハロルドは途中の木陰を休み場として示した。ただし斜面が濡れた日は取りやめる。ミラはその一行を紙の下端ではなく、最初に大きく書いた。
運ぶ量は当初の半分になった。フェルンは商売にならないと肩をすくめたが、損をするなら買わないと言い、結局その半分を引き受けた。村が荷運びの危険まで売り物にしてくれるわけではない。値の低さに腹を立てたヨレンは、それでも粉袋を縛り直した。
運搬を引き受けた三人のうち一人は、普段は乳飲み子の世話をしている男だった。日暮れ前に戻れるよう出発時刻を前倒しすると、家に残る妻は自分の織物を干す時間を失う。荷一つ動かすにも、家族の都合を聞かなければならなかった。エダは妻にも相談し、午後の乾燥棚の交代を頼んだ。
翌朝、荷を担いだ者たちは橋の横を通り過ぎた。水は浅く見えたが、川底の石は夏でも滑る。ミラは運び手の背を見送り、橋の修理の見積もりを空いた板へ書いた。橋が使えない不便さと、橋を使わせない責任は、どちらも村に残っていた。




