最初の青
試した畝に、小さな緑が揃って顔を出した。ハロルドは腰を屈め、葉の向きを確かめた。排水を直した場所はよく伸びているように見えるが、まだ数日しか経っていない。ミラは嬉しさを抑え、ほかの畝も同じように数えた。古い種を使った場所にも芽があり、選別した種でも欠けた場所があった。
ルークは自分が並べた十粒のうち何粒が芽を出したか気にしていた。数えに行くと、小さな足で畝を踏みそうになる。ハロルドは通る場所を示し、手を引いた。「芽を見たいなら、芽を踏むな」。ルークは頬を赤くし、今度は遠くから覗いた。記録に使う木札を持つ係を頼まれると、機嫌が直った。
芽の数を調べる時、ミラは全ての畝を同じ日に見ようとして疲れた。ハロルドは「畑は逃げない」と笑い、見る日を分けるよう勧めた。雨の日と晴れの日では葉の向きも違う。焦って同じ条件に揃えることはできないから、天候も一緒に書いておく。ルークは札を運び、間違えた一枚を自分で直した。
畑から戻る道で、ミラはオル婆が小さな鉢に豆を育てているのを見た。膝が痛くても、窓辺なら世話ができるという。共同の畑の成果にばかり目を向けていたミラは、その豆を見て嬉しくなった。大きな畑も小さな鉢も、それぞれ誰かの食卓へ繋がる。芽の青は同じでも、待つ人の暮らしは一つずつ違っていた。
夕方、ミラは冬に減った麦袋を思い返した。収穫までは長く、風も虫も雨もある。それでも村の皆が畑の芽を自分の目で見ている。数字を知る人が増え、土の具合を話せる人が増えた。緑の列はまだ細い。今あるものを守りながら、明日の食べ物が育つのを待つ時間が始まっていた。




