受け取るだけではない
隣村グレサから、今度は女が二人来た。獣除けの柵がうまく作れず、途中で門が傾いたという。ギルは木の切り方を聞き、使った材を見て顔をしかめた。湿った枝木をそのまま柱にしたらしい。図だけ渡しても、木の癖までは伝わらない。ミラは村へ招いて現物を見てもらうことにした。
二人は半日かけて柱を削る作業を見学し、帰り際にハルヴェの水路について質問した。向こうの村では石を敷かず、柳の枝を使って土を守るという。オスカーはその話に興味を示した。教えるだけではなく、知らない工夫を教わる機会にもなったのだ。
二人の女は柵の柱を見ながら、グレサでは古い柳を使っていると話した。乾きにくい木だが、曲がる性質を生かせる場所もあるという。ギルはすぐ試すとは言わず、実際の柱を見てみたいと答えた。自分の得意な木で何でも作ろうとする癖を、少し恥ずかしく思ったようだった。
昼食の席では、共同鍋へ食材を持ち寄る仕組みに質問が集中した。サラは最初に喧嘩したことも隠さず話し、エダが帳面を見せた。女たちは真剣に聞いたが、そのまま真似しようとは言わなかった。自分たちの村の家数や薪の事情を思い浮かべていたのだろう。ミラは帰る二人へ、困ったらまた相談しようとだけ声を掛けた。
村長は二人を昼食へ誘い、共同鍋から汁を分けた。女たちは大鍋に驚きつつ、自分たちの村でも似た試みをしたが、薪の集め方でもめたと話した。ミラはうなずいた。「うちも最初は、そうだった」。成功した部分だけを見せれば、誰でも簡単に真似できるように見える。失敗したところまで話して初めて、互いの暮らしは少し近づいた。




