水車の音
粉屋の小さな水車は、雨の後にぎこちない音を立てるようになった。軸が摩耗し、水量が増えるたび車輪が片側へ寄る。ヨレンは何とか回し続けていたが、修理には数日止める必要がある。ミラは村の麦挽きをいつ止められるか調べた。共同鍋、各家のパン、種に残す麦。どれも同じ日に足りなくなるわけではない。
エダは家々の粉の残量を確かめ、前倒しで挽ける分を集めた。サラは修理中の食事を粥中心に変え、レアは粉袋を修繕した。ヨレンは初めて安心して水車を止めた。ギルとセランが軸を外すと、木には深い溝ができていた。今まで見えなかった傷が、二人の手の中に現れた。
水車を止める前、ヨレンは川の水量を確かめた。雨が降れば修理中の部材が流される。セランは工具を高い棚へ置き、ギルは軸を支える縄を何度も結び直した。誰も作業を急がせず、危険な位置に人が入らないよう一人が外から見守った。村人は修理の手順を知らなくても、そばへ近づかないことで手伝えた。
修理が一日延びると知った時、サラは平焼きに使う粉を少し節約し、共同鍋の粥を増やした。文句を言う者もいたが、理由を聞くと納得した。ミラはあらかじめ余裕を作れたことに安心しすぎず、翌月も同じやり方で間に合うか考えた。水車の音が戻った時、皆が待っていたのは粉だけではなかった。
修理は予定より長引いた。新しい部材が合わず、やり直したからだ。しかし食料の分担は続き、村は焦って水車を回させなかった。静かな粉屋を不気味に思った子どもたちが、窓から中を覗いた。三日目の夕方、川辺へ規則正しい音が戻った。ヨレンは回る軸を見て深く息を吐いた。止める日を選べる仕事は、壊れるまで止まれない仕事より長く続く。




