干し場の影
日照りの短いハルヴェでは、野菜の乾燥が家ごとの腕に左右された。収穫した蕪を軒下に吊るして腐らせる家もあれば、よく乾かして春まで持たせる家もある。ミラが干し場を見せてほしいと頼むと、薬草を扱うニーナは籠を二つ持って現れた。「同じ日に切ったのに、こっちは湿ってる」。違いは屋根の向きだった。
二人は昼から村を回り、風の通る場所を探した。使われなくなった羊囲いのそばは日当たりが良いが、夜露が下りる。粉屋の二階は乾くが、出入りに手間がかかる。ギルが網棚を作ると言い、ミラは運ぶ距離まで紙に描いた。結局、干す場所と夜に取り込む場所を分けた。数人で棚を持てば、老人も管理に加われる。
棚の脚を立てる位置には、普段洗濯物を干していた家の反対があった。布を乾かす場所を奪ってまで野菜を干すのかと問われ、ミラは棚を一段低くして場所を分ける案を出した。すると今度は地面の湿気が気になる。ギルは支柱を少し高くし、横へ掛ける棒の向きを変えた。干し場を使う者が違えば、必要な高さも違った。
夕暮れ前の取り込みには、ニーナが編んだ籠を使った。籠の底に湿った野菜が残らぬよう、薄い布を敷く。子どもたちは棚へ札を掛け、切った日と取り込んだ日を区別した。何がうまく乾いたかを後から確かめられる。作業を眺めたサラは、共同鍋で使う蕪を翌朝だけ少し減らしてみようと言った。
初日の蕪はきれいに乾かなかった。厚さがばらばらだったからだ。ニーナが包丁の刃を止め、子どもたちに薄切りの幅を見せた。ミラは切れ端も捨てず、すぐ食べる鍋に入れた。乾燥の試みは食料を生み出さない。それでも傷ませずに口へ運べるなら、村の秋は少し長くなる。棚の下には、細かな蕪の香りが残った。




