見知らぬ図面
セランが修理した荷車は、以前より小さく曲がれるようになった。車輪の軸を削り直し、留め具の負担を減らしたのだ。ギルは感心したが、ハロルドは細工が弱くなったのではと心配した。ミラは二人の議論を聞き、空の荷車と麦袋を積んだ荷車でそれぞれ試してみることを提案した。
結果は予想と違った。空なら滑らかだが、満載では片側だけ車輪が熱を持った。セランはすぐ軸を外し、削り過ぎた場所に薄い板を挟んだ。ギルは「最初から完璧だと言わなかったな」と言い、工具を渡した。二人の間で初めて、仕事の仕方を教え合う言葉が生まれた。
荷車の試験では、空の時に板がきしむ音をセランが聞き分けた。ギルはその音を知らず、車輪の留め具を外して初めて原因が分かった。二人は何度も坂を往復したが、急な下りだけは試さなかった。壊れた時に誰かが轢かれる恐れがある。安全な場所で分かることを先に確かめた。
ミラは試験を手伝う若者たちに、引き手を交代するよう頼んだ。荷車が良くなったからといって、押す人の疲れが消えるわけではない。セランは握りやすい取っ手も削ってみたが、背の低い者には高すぎた。結局、取っ手の位置は二段に分けた。道具を使うのは一人の職人だけではなかった。
ミラは修理した日と積んだ重さを帳面に残した。上手な職人が一人増えても、村の道が一気に良くなるわけではない。まして荷車が増えるわけでもない。それでも春の運搬を止めずに済めば、他の家にも余裕が戻る。セランは夕暮れ、工房の端で図面を広げた。そこには彼が歩いてきた町の車輪と、ハルヴェの道に合う小さな工夫が、同じ線の上に描かれていた。




