滞在の約束
旅人たちの滞在が七日を過ぎた。ベルクは三人に残る意思を尋ねた。セランは村で働きたいと言い、ティアは峠の向こうに妹がいると答えた。マルタは迷っていた。村人から見れば三人は同じ旅人でも、それぞれ行きたい場所が違った。
ミラは住む家と働く仕事を一緒に決めないよう提案した。まず冬を越した空き家を点検し、住めるか確かめる。そこへ入るなら薪や屋根の修理費をどう分けるか、村の既存の家と同じ基準で話す。ティアには旅立つ道が安全になるまで仮住まいを用意し、引き止めない。マルタは共同鍋の仕事を試してから決めることになった。
空き家を見に行った日、床下から湿った匂いがした。セランは窓より先に土台を確かめようと言い、ギルも賛成した。寝床を置く前に直さなければならない場所が多い。ミラは費用を軽く見積もったことを詫び、村長へ修理の優先順を相談した。すでに住んでいる家の緊急修理を遅らせてまで、急いで入居させることはできない。
マルタは共同鍋で働き始め、サラから包丁の置き場所を教わった。彼女のやり方とサラのやり方が違う時には、どちらが速いかでなく、誰が片付けるかまで考えて決めた。夜には三人が倉庫の部屋へ戻り、明日の仕事を話した。村へ残るかどうかは、まだ彼ら自身の言葉で決められるままだった。
空き家の床は傷み、窓も割れていた。修理は簡単ではない。セランは自分で手を動かすと言ったが、ギルは「一人で屋根に上るな」と釘を刺した。ミラはそのやり取りを聞き、ほっとした。歓迎の言葉だけでは人は住めない。暮らす場所の具体的な約束があって初めて、村は新しい人の明日を支えられる。




