名簿の余白
三人の旅人を受け入れると、今度は食料の配分が問題になった。村人の名前で埋まっていた帳面には、余白がほとんどない。エダは新しい紙を買う余裕を気にしたが、ミラは古い記録の裏を使うことにした。旅人の名を書き、滞在日数、できる仕事、必要な物を分けて記した。
男の名はセラン。車輪の軸を削る仕事を見て、ギルが目を細めた。「お前、まともな職人だな」。二人はすぐに仲良くなったわけではない。ギルは工具を貸すのをためらい、セランも道具の扱いに口を出されたくなかった。ミラは作業場の規則だけ説明し、残りは二人に任せた。
セランが使った工具を片付ける時、ギルは数が合わないと騒いだ。二人で工房を探すと、古い板の下から小さな鑿が出てきた。セランが勝手に隠したのではない。ギル自身が朝に置いたまま忘れていた。彼は気まずそうに咳払いし、道具の置き場を決め直した。疑われた側がいつまでも嫌な気持ちにならないよう、ミラは二人だけで話してもらった。
マルタは共同鍋の野菜を選り分けながら、旅の途中で覚えた保存法を話した。サラは全てを取り入れるのでなく、村の材料で試せるものを一つ選んだ。ティアは染め草の束を見せたが、レアは今は水が足りないと正直に答えた。できないと伝えても、相手の価値がなくなるわけではなかった。
ティアは染物の仕方を見せたが、村にはそのための大量の水がない。今すぐ役に立つとは限らない。それでもレアは彼女の話を熱心に聞いた。もう一人の女、マルタは長く歩けない代わりに、傷んだ野菜を選り分ける目が鋭かった。名簿の最後にミラが書いたのは「食べる人数三人増」だけではない。村でまだ知られていなかった三つの名前だった。




