峠の三人
春の初め、峠から三人の旅人が歩いてきた。男一人と女二人、皆ひどく疲れている。隣の領地で作物がだめになり、働き口を探しているという。村人は警戒した。ハルヴェ自身、余る食べ物などほとんどない。ミラは温かい水を差し出したが、泊めるかどうかは村長の判断に任せた。
ベルクは一晩だけ倉庫の空き部屋を貸した。旅人の一人、若い女のティアは靴を脱ぐと、踵に深い傷があった。ニーナが手当てし、ミラはどの道を通ってきたか尋ねた。峠の橋は壊れ、別の村では井戸が枯れたらしい。話の真偽は分からないが、旅人の疲れは疑えなかった。
三人に出す食事について、サラは共同鍋の参加者へ先に説明した。備蓄が少ない中で黙って人数を増やせば、不信を招く。五軒から始まった鍋には、今では多くの家が関わっていた。反対の声もあったが、一晩の食事を分けることには皆が同意した。ミラはその日の消費を帳面に記し、余裕があるようには見せなかった。
ティアは靴を脱ぐ前、倉庫の敷居を何度も見た。知らない村で屋根のある部屋を借りるのが怖かったのだという。ニーナは急かさず、座る場所を示した。セランは荷物を壁に立て掛け、マルタは傷んだ野菜の匂いに気づいて籠を分けた。助けられるだけの者として扱われないことが、三人の顔を少しずつ和らげた。
翌朝、村の会議で受け入れが議題になった。働けるならいてもらおうという声と、食料が減るという声が並んだ。ミラは双方の言葉を帳面に記し、「三人が何をできるか、本人に聞いていない」と言った。ティアは染物を、男は車輪の修理を知っていた。今すぐ村人になる約束はしない。ただ、一週間だけ互いを知る時間が生まれた。




