遅い朝の鐘
春の仕事が始まると、共同鍋へ集まる時間が合わなくなった。畑へ出る家は日の出前に食べ、工房の者はその後になる。サラは鍋を二度温め直し、疲れた顔で薪を足していた。ミラは鍋を二つに増やす案を持っていったが、サラは首を振った。「私の手は二本しかないよ」。
一度で作り、取りに来る時間を分ける方法を考えた。料理が傷まないよう温度や時間に気をつけ、保温できないものは後回しにする。麦粥のほかに冷めても食べられる平焼きを増やした。レアの家の大きな板で生地を伸ばすと、子どもたちは喜んだが、サラは焼き方の順番を厳しく教えた。
平焼きを始めた日、サラは粉の配分を何度も計算した。粥なら水の量で多少調整できるが、平焼きは失敗すると固い塊になる。エダは最初の分だけ材料を小皿へ分け、使いすぎないようにした。レアは板の下に布を敷き、生地が張り付くのを防いだ。料理にも、それぞれの家が持つ細かな技があった。
畑へ急ぐ若者は包みを受け取り、歩きながら食べようとした。ミラは転ばないよう広場で食べる場所を示した。急いでいる朝ほど、ほんの少しの間を取るほうが安全なこともある。子どもたちは香ばしい匂いに誘われて集まり、サラは余分を作れないと困った顔をした。それでも笑い声を聞くと、次の粉の量を考え始めた。
最初の週は焼き過ぎて硬くなったものもあった。ミラは全部を成功だとは言わず、翌日は量を減らした。共同鍋に頼りきりの家が困らないよう、家で炊くことも続けてもらった。朝の鐘が鳴る頃、畑へ向かう人々は包みを持って歩いていた。サラは残った粥をすすり、「これなら春も続けられる」とようやく笑った。




