靴底の石
雪解け前の朝、子どもが坂で転んで膝を擦りむいた。大けがではない。しかし転んだ場所には、雪の下から尖った石が顔を出していた。新しく開いた緩い道だった。ミラは自分が提案した道で傷ができたと知り、顔を伏せた。ルークは「こっちのほうが楽なのに」と言った。
オスカーは歩きやすい道ほど人が多く通り、表面が削られると説明した。道を作った時には隠れていた根や石が、冬の間に浮いてくる。ミラは道を閉じようとしたが、オル婆が「閉じたらまた遠回りだよ」と止めた。そこで段差のある場所だけ印を付け、霜が緩んだ昼に取り除いた。危険な日は旧道も使えるようにする。
転んだ少年が使っていた靴は、踵が片方だけすり減っていた。レアは修理する時、靴の持ち主へ歩き方を見せてもらった。道の石だけが原因とは言い切れない。ミラは少年と坂を一緒に歩き、急いだ時に踏み外しやすい角を確かめた。危険を一つのものへ押し付けてしまえば、別の危険が残る。
オスカーは道の先へ小さな枝札を立てたが、雪が深くなると埋まる高さだった。冬の間だけではなく、春も使えるよう札を高くし、足元には石を並べた。村人は何度も道を直すことに呆れたものの、オル婆が毎朝通る姿を見ると文句を言わなくなった。修理した道は完成品ではなく、歩く人と共に変わる場所だった。
少年の膝にはニーナが布を当て、数日で治った。村の板には初めて小さな負傷が記された。ミラは消したくなったが、あえてそのまま残した。誰も傷つかない村を目指すなら、すでに起きたことを隠してはならない。翌朝、彼女は道の石をもう一度確かめた。歩く人の足の高さから見ないと、気づけないものがあった。




