一人の遅刻
見張りの交代に、青年バルトが遅れた。二度目だった。トビアスは厳しく罰するべきだと言い、バルトは畑の家畜を世話していたと反論した。ミラは二人の間へ入らず、夜番の帳面を見た。交代時刻は鐘が二度鳴る頃とだけ書かれ、誰が鐘を打つかは決まっていなかった。
時刻を刻む大時計など村にはない。ミラは夕暮れから燃える見張りの灯と、鍛冶屋の仕事終わりの鐘を基準にする案を出した。季節で日暮れが変わるため、毎週見直す必要がある。バルトにも家畜を預けられる日と預けられない日を分けてもらい、当番表に反映した。ただし遅れた日の責任が消えるわけではない。彼は次の夜番の食事を用意すると申し出た。
バルトが遅れた夜、見張り台の火は一度だけ弱くなっていた。トビアスはそのことも怒っていたのだと、ミラは後から知った。家畜の世話が長引く日は、交代の時間より前に知らせればよい。バルトは妻へ伝令を頼む案を考えたが、彼女も家の仕事で忙しい。そこで隣家の見張り仲間と早めに交代する取り決めをした。
新しい当番表は、鐘の音だけでなく夜の寒さも考える必要があった。長い時間立たせれば集中が切れる。ミラは夜番の後に休む時間があるか尋ね、翌朝の仕事を少し軽くする相談をした。トビアスは「そんなに甘やかしていいのか」と言ったが、吹雪の夜に眠気で目を閉じた経験を思い出し、反対をやめた。
トビアスは頷き、バルトは初めて約束の少し前に見張り台へ来た。その晩は吹雪になり、二人は交代しながら火を守った。遅刻の原因が人の怠け心だけなら、表を直しても意味はない。表だけが悪いなら、叱っても意味がない。ミラはどちらか一つを選ばずに済んだことを、静かに喜んだ。




