二軒の言い分
雪かきの後、道幅を巡って二軒が争った。片方は荷車が通れないと言い、もう片方は庭へ雪を押し込まれたと怒っている。ベルクが仲裁に出たが、どちらも引かなかった。ミラは二軒の前で雪を踏み、境界の石が見えるところまで掘った。争いの原因は道の幅だけではない。捨てた雪が翌朝凍り、井戸へ行く足場を悪くしていた。
二軒だけで解決させれば、また雪の日に同じことが起きる。そこでミラは道沿いの四軒を呼び、水がどこへ流れるか一緒に見てもらった。雪を積んでもよい空き地は少し離れていたが、風が当たりにくく、春には水が畑へ入らない。運ぶ距離が伸びる分、当番を一軒ずつでなく二軒組にした。
四軒で雪の運び場所を見に行くと、最も年配の女が昔の大雪を覚えていた。そこへ積んだ雪が春の水となって井戸へ流れたことがあるという。ミラは候補地を変え、低地の一角へ少しずつ運ぶようにした。昔の記憶が常に正しいとは限らないが、今の地面に残る跡とも合っていた。
翌日、雪を運ぶ二人組が遅れた。片方の家に病人が出たためだった。相手の家は怒らず、残りを翌朝へ回した。約束を守るとは、事情が変わった時に黙っていなくなることではない。ミラは当番表の横に、代わりに知らせる相手を書いた。小さな揉め事の跡には、春へ繋がる細い水路だけが残った。
最初に怒鳴った男は翌朝、相手の家の前まで雪を運んだ。謝る言葉はなかったが、庭へ押し込むこともしなかった。ミラは二人が仲良くなったとは思わない。隣に住む者は、好き嫌いに関わらず明日も顔を合わせる。だから争わなくて済む手順を残す。村長はその晩、仲裁の帳面に初めて「双方、作業に合意」とだけ記した。




