雪の重み
夜半に屋根から大きな音がした。粉屋の裏手で、古い物置の梁が雪に耐えきれず折れたのだ。中に人はおらず、けがはなかった。しかし積んでいた干し草の一部が濡れた。ヨレンは肩を落とし、ギルは梁の折れ口を指でなぞった。「去年なら持ったのに」。湿気が木の芯まで進んでいた。
ミラは村の屋根を片端から雪下ろしする案を出しかけ、すぐに危険だと気づいた。高所へ上がるほうが事故を起こしかねない。ギルは地上から触れられる低い屋根だけを先に調べ、危険な建物には立ち入らない印を付けた。梯子を使う必要がある場所は、二人以上で日を選び、作業の中止基準も決めた。
折れた物置の梁を見に来た者の中に、昔そこで遊んだという老人がいた。若い頃はもっと厚い雪にも耐えたと語る。ギルは木の表面を削って黒く変色した芯を示し、「今の木は昔の木じゃない」と説明した。建物も人と同じように年を取る。懐かしさだけでは重さを支えられない。
雪下ろしを手伝いたいと名乗った少年たちには、屋根へ登らず地上で道具を渡す役を頼んだ。作業場には縄を張り、落ちた雪へ近づかないようにした。昼過ぎ、ギルは風が強まったのを見て予定を途中で切り上げた。不満そうな声もあったが、翌日の朝には誰も怪我をしていなかった。終わらなかった仕事は、次の日に引き継げる形で残された。
濡れた干し草は使える部分と捨てる部分に分け、家畜の餌は別の小屋から少しずつ融通した。被害をゼロにできなかったとミラがつぶやくと、ベルクは首を振った。「人が下にいなかったのは幸いだ。次を減らせばいい」。ミラは折れた梁を捨てず、工房の前に置いてもらった。冬はまだ続く。危うい木の色を皆が覚えるためだった。




