鍋の数
村には十六のかまどがあった。寒い朝には、十六の家がそれぞれ薪を燃やして薄い粥を煮る。ミラは森番の妻サラから、薪の運び手が足りないと聞いた。森へ行けない老人の家では、火が消えている日さえあった。「一つの大鍋で作ったら?」と彼女が言うと、サラは眉を上げた。「誰が何を食べたかで喧嘩になるよ」。
そこでミラは、食材を取り上げる案を捨てた。希望する家が食材を持ち寄り、その場で印をつけてもらう。鍋は粉屋の裏庭に置き、番をする者には温かい食事を先に渡す。五軒だけが参加した。最初の昼、麦の量を巡って口論が起きた。エダが匙を置き、持ってきた分を帳面と照らした。誰かの好意だけでは、共有の鍋は続かない。
鍋の大きさを決める時、サラは底の焦げを見せた。昨年の祭りで使った大鍋は、長く火に掛けると底だけが熱くなる。ミラは五軒分の粥なら少し小さい鍋で足りると考えた。選んだ鍋を洗う水も数え、朝の井戸が混む時間を避けて準備した。食べることだけを考えれば、片付ける人の仕事が増える。
初日には木匙が足りず、子どもが自宅まで取りに走った。次の日、レアが布袋を縫って匙をまとめた。どの家のものか分かるよう柄に糸を巻き、返し忘れを減らす。サラは自分の鍋を他人に任せるのを怖がっていたが、エダがかき混ぜる間に薪を数えられると知り、ようやく肩の力を抜いた。
それでも二日目、独り暮らしのオル婆が小さな椀を持って来た。薪を運ばずに食べられると知ったのだ。「味は薄いね」と言いながら、椀を空にした。ミラは塩の壺に残った量を記し、薪の山を数えた。五軒が七軒になるのは、その翌日だった。火が一本にまとまっても、家族の食卓まで同じにする必要はなかった。




