↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/168

鍋の数

村には十六のかまどがあった。寒い朝には、十六の家がそれぞれ薪を燃やして薄い粥を煮る。ミラは森番の妻サラから、薪の運び手が足りないと聞いた。森へ行けない老人の家では、火が消えている日さえあった。「一つの大鍋で作ったら?」と彼女が言うと、サラは眉を上げた。「誰が何を食べたかで喧嘩になるよ」。


そこでミラは、食材を取り上げる案を捨てた。希望する家が食材を持ち寄り、その場で印をつけてもらう。鍋は粉屋の裏庭に置き、番をする者には温かい食事を先に渡す。五軒だけが参加した。最初の昼、麦の量を巡って口論が起きた。エダが匙を置き、持ってきた分を帳面と照らした。誰かの好意だけでは、共有の鍋は続かない。


鍋の大きさを決める時、サラは底の焦げを見せた。昨年の祭りで使った大鍋は、長く火に掛けると底だけが熱くなる。ミラは五軒分の粥なら少し小さい鍋で足りると考えた。選んだ鍋を洗う水も数え、朝の井戸が混む時間を避けて準備した。食べることだけを考えれば、片付ける人の仕事が増える。


初日には木匙が足りず、子どもが自宅まで取りに走った。次の日、レアが布袋を縫って匙をまとめた。どの家のものか分かるよう柄に糸を巻き、返し忘れを減らす。サラは自分の鍋を他人に任せるのを怖がっていたが、エダがかき混ぜる間に薪を数えられると知り、ようやく肩の力を抜いた。


それでも二日目、独り暮らしのオル婆が小さな椀を持って来た。薪を運ばずに食べられると知ったのだ。「味は薄いね」と言いながら、椀を空にした。ミラは塩の壺に残った量を記し、薪の山を数えた。五軒が七軒になるのは、その翌日だった。火が一本にまとまっても、家族の食卓まで同じにする必要はなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。