見えなかった穴
穀物小屋の裏壁には、子どもの指が入るほどの隙間があった。ミラが床を掃いていると、麦殻がそこへ細い道を作っていた。鼠だ。村の男たちは罠を置けば済むと言ったが、ミラは小屋の外を回り、壁際の地面を手で探った。雨水が集まる窪みがあり、湿り気で土台の木が柔らかくなっていた。
木工職人のギルは、冬の燃料用に積んだ端材を見せた。「直すなら屋根が先だろう」。ミラは屋根を見上げ、「屋根は春まで保つ。でも、この穴は今夜も麦を食べる」と言った。ギルは笑わず、残った木板を切り始めた。壁の外には砂利を敷き、雨が土台を離れるよう浅い溝を掘った。
昼、ギルは板を釘で止める前に、床から小屋の梁までを測った。傾いた壁に真っ直ぐな板を当てても、端からまた隙間ができる。彼は木を薄く削り、粉を吹き飛ばし、何度も合わせ直した。待ちきれない村人が釘を渡そうとすると、「一本曲がれば来年また直す」と首を振った。急ぐ理由はあっても、粗く仕上げる理由にはならない。
ミラは床の下の古い鼠穴も見つけ、布を詰めようとした。しかし布は齧られるとオスカーに言われ、石の欠片を運んだ。掃除の後には壁際へ何も置かず、見回る人が足跡を見つけやすいようにした。日が落ちる頃には手が冷え、誰もが早く帰りたがっていた。最後の鍵を確かめたのはギル自身だった。
その夕方、捕まった鼠は一匹だけだった。成果を喜ぶ声は少ない。壁を塞いでも、一度傷んだ麦は戻らないからだ。だが村長は初めて、麦袋を置く位置をミラに尋ねた。彼女は入口に近い袋ほど先に使おうと答え、湿った床には板を渡した。村が変わったのではない。昨日まで誰も触らなかった穴が、一つ消えただけだった。




