籠の底の麦
辺境のハルヴェ村では、秋の収穫が終わると、村長の家の前に麦袋が積まれる。今年は去年より七袋少なかった。村人は長雨のせいだと言い、村長のベルクもその場ではうなずいた。十七歳のミラだけが、袋の口を結ぶ縄の色を見ていた。新しい縄が三本しかない。残りは去年のものだ。袋の数だけでなく、中身まで減っている可能性があった。
「量り直してもいい?」と尋ねると、父は顔をしかめた。「皆、疲れている」。ミラは引き下がらず、「明日の朝、私がやる」と答えた。翌朝、使われていない荷車の秤を借りて袋を一つずつ載せた。村長の妻エダが帳面を開き、数字を記した。二袋は底が湿っていた。重さはあっても食べられる麦が少ない。
量り終えた袋を運ぶ時、ルークが一つだけ軽いものを見つけた。布の端から粉が漏れている。縫い目を直すためレアの工房へ運ぶと、彼女は古い針を磨き、裂け目の内側から布を当てた。作業の途中でこぼれた粒は、鳥の餌にしてよいかエダへ聞いた。ほんの一握りでも、黙って持ち去れば次に数える時の数字が変わってしまう。
「こんなに細かくする必要があるのか」と父は呟いた。ミラは濡れた袋と乾いた袋を並べ、「どちらを先に食べるか決められるように」と答えた。父は反論せず、運ぶ手を貸した。指先には冬前の乾いた土が付いていた。村に残る食べ物を守る仕事は、畑が静かになってからも終わらなかった。
広場へ集まった人々は、ミラの計算を聞いて黙った。食卓の麦を減らせと命じる者も、冬が越せると保証する者もいない。彼女は黙ったまま袋の置き場所を変え、濡れたものだけ日に当てた。まず数える。数えなければ、守るものの形さえ分からない。そう思っただけだった。




