病人の家の仕事
メイが起き上がれるようになっても、母親は数日まともに眠っていなかった。畑の片付けも薪割りも止まり、家の前に仕事が積み上がる。手伝いに来た人々は善意だったが、皆が同じ日に訪れるので、かえって母親を疲れさせた。ミラは「今日は誰も来ない日」を一日作ろうと言った。
ルークは家の前に短い札を掛けた。水は足りている、薪は夕方に必要、食事は共同鍋から受け取る。外から手を貸す者は、札を読んでから動いた。文字の読めない者には小さな絵を添えた。サラが「助けに行きたいのに追い返されるみたい」とこぼすと、ミラは「休むのも助けのうち」と答えた。
病人の家の札を作る前、ミラは母親へ見せてよい内容を確かめた。熱の具合や薬の名前までは外へ書かない。必要な食事や薪の量だけで十分だった。事情を知りたがる村人はいたが、ミラは「手伝うための札だから」と答えた。心配することと、他人の家のことを全部知ることは違う。
サラは共同鍋から運ぶ汁を少し濃くしようとしたが、ニーナはメイが食べられる量をまず確かめるよう勧めた。良かれと思う工夫が、その人に合うとは限らない。母親は自分で小椀を選び、残った分を無理に食べさせなかった。ミラは食卓に座る家族の声を聞き、手伝う者が一歩下がれるようになったことを喜んだ。
次の日、メイは窓辺で布の人形を縫っていた。ルークがぎこちない縫い目を笑い、母親は久しぶりに穏やかな顔で二人を見た。ミラは家の前の札を外す時、次に病人が出たら同じ形を押し付けないと決めた。必要な手は家によって違う。誰かの暮らしを守るには、その家の静けさまで大切にしなければならない。




