新しい椅子の重さ
村会議へ集まる人が増え、ベルクの家の椅子が足りなくなった。グレサや谷からの使者が来る日もある。新しい集会所を建てたいという声が出たが、橋や屋根の修理が残る今、木材を回せるか分からない。ギルは急いで建てれば春の雨に弱い小屋になると話した。
ミラは部屋を大きくする前に、議題を分けて集まる方法を提案した。農地の人、荷運びの人、食事を作る人。それぞれの時間を確かめ、一度に全員を長く座らせない。ベルクは決める役目が細切れになると心配したが、エダが意見と決定を分けて記録することで試すことになった。
その日、ルークは大人の椅子が高すぎて足が床に付かないと言った。誰も気づかなかったことにベルクが驚き、低い腰掛けが用意された。会議で話せる人を増やすのは、声を掛けるだけでは足りない。
会議の席を外した荷運びの若者が、自分たちの意見はいつ届ければよいか尋ねた。エダは紙で預かるだけでは読み書きのできない人が困ると気づき、帰路に立ち寄る時間を設けた。ベルクは全員の意見が一致するとは思わない。それでも後から質問できる場所があるだけで、決定の理由を確かめられる。ミラは椅子を増やす案を否定したのではなく、急いで建物を広げる前に、話し合いの入口を広げたかった。
椅子を直したギルは、揃わない脚の長さを何度も調整した。小さな傾きでも座る人には不安になる。
夜、部屋には古い椅子が並んでいた。どれも形が違い、使う人の背丈も違う。ミラは大きな建物が欲しくないわけではなかった。ただ、先に話を聞ける場所を守りたいと思った。次の会議は晴れた日を選び、広場にも席を出す予定になった。




