春の一枚
薄い陽が広場に差し込み、村の掲示板に春の予定が並んだ。種を試す日、雨樋を見る日、井戸を点検する日。橋の通行止めの札はまだ外せず、税の繰り延べ分も帳面に残っている。グレサとの境界は暫定の取り決めができたが、測量はこれからだった。
ミラはエダと掲示の順を入れ替えた。大きな仕事だけ目に付くと、食事の当番や病人の家への配達が後回しになる。サラは鍋の人数が減ったと知らせ、代わりに家で料理できるようになった人がいると話した。共同の鍋から離れることも、良い変化かもしれない。
リネは自分で相談所へ書いた返事を見直していた。ティアはそれを待つ間も針仕事を続ける。グレサの若い書記からは、羊の移動を記した簡単な紙が届いた。谷の村はまだ水を測っている。どの知らせにも結論はなかったが、それぞれの場所で人が考え、働いていた。
掲示板には、今年から小さな余白が設けられた。予定が変わった時、別の紙を重ねて読めなくしないためだ。ルークはそこへ危険な石の絵を貼り、翌日にはオスカーが通路の様子を書き足した。広場を歩く老人は絵を見て、別の坂にも似た石があると教えた。ミラは一つの印が次の問いを呼ぶことを嬉しく思ったが、掲示を増やしすぎれば大事な知らせが埋もれると気づいた。昼の鐘は修理を待ち、広場には人の声だけが続いていた。
広場の端でルークが、冬に立てた危険の杭を一本抜いてよいか尋ねた。ミラはそこへ歩き、地面を確かめた。氷は消えていたが、下の石はぐらついている。杭はもう少し残すことにした。春が来たから全てが安全になるわけではない。彼女は新しい紙を広げ、石の位置を小さく描き足した。




