運ぶ人の値段
山道の運賃が上がり、ハルヴェの麻袋を買う商人が注文を減らした。フェルンは値下げを求められ、レアは労賃を減らさなければ応じられないと答えた。リネはその話を聞き、自分の賃金が削られるのではないかと身構えた。
ミラは運賃が高くなった理由を調べた。山の一部で崩れた斜面があり、運び手は遠回りをしている。さらに休憩できる宿が少なくなった。運賃の額だけを責めても、安全な道は戻らない。
セランは荷車を軽くする工夫を考えたが、積荷を増やし過ぎれば車軸が傷む。レアは袋の種類を整理し、売れにくいものを作り続けないよう注文を小さく受けた。収入は減ったが、手元の材料と働く時間を守る選択だった。
運び手の一人は、最近、荷車を降りて歩く距離が増えたと話した。坂の途中に小さな落石が続いており、車輪を守るためだという。フェルンはその時間が運賃に含まれるのは当然だと認めた。安い道を選んで荷が傷めば、結局売り物がなくなる。リネは縫った袋の裏側に、濡れた時は吊り下げて乾かす印を付けた。取引先に守ってもらいたい使い方を伝えるだけでも、少しは損を防げるかもしれなかった。
契約を減らしてもレアは針仕事を止めなかった。売るための袋だけでなく、村の家々の繕い物も残っていた。リネは手荒れの様子を見ながら、短い時間でできる仕分けを引き受けた。仕事の数を減らすことと、働く人の価値が減ることは違うとミラは思った。
フェルンは商人へ値下げできない理由を説明し、納品を春の市へまとめる案を出した。相手は即答しなかった。ミラは取引を失うかもしれないと覚悟した。村を守るという言葉で、働く人に無理をさせるわけにはいかない。山道の向こうで、別の商人もそれぞれの計算をしていた。




