王の税ではない
村の広場に、郡都から税の督促に関する掲示が届いた。支払い期限に遅れた村へは追加の手数料が生じるという内容だ。ハルヴェには正式な猶予があるはずだったが、掲示には例外が書かれていない。ベルクは怒り、村人は再び全部払わされるのではないかと不安を募らせた。
ミラは通知の差出人と対象の期間を確かめた。紙は郡内の全村へ向けた一般の知らせで、ハルヴェ宛ての猶予の取消通知ではない。だが村人はまだ納得できない。エダは郡へ問い合わせ、猶予分の扱いを明記した返答を求めた。
返事には、追加手数料は猶予対象には適用しないと書かれていた。ただし残る通常の納税分は期限どおり必要だという。ベルクは二つの額を別々に掲示し、支払いを忘れないよう村の会計係と確認した。
掲示を読めない村人には、ベルクが夕食の前に内容を読み上げた。若い母親が『繰り延べは、払わなくてよいという意味ですか』と尋ね、エダは期限が先へ移っただけだと答えた。何度も説明したはずのことでも、忙しい日々に忘れられる。ミラは聞き返す人を笑わないよう頼んだ。税の紙一枚で冬の不安がよみがえった家もある。猶予の数字を見せるだけでなく、次の支払いまでの道筋を話す必要があった。
掲示が外された後も不安はすぐ消えなかった。だからベルクは翌週の会議でも同じ説明を繰り返した。
会議の後、若い男が『王さまは村を忘れている』と呟いた。ミラは王の考えを知っているわけではないと答えた。目の前にあるのは郡の役所が出した紙であり、確かめられる手続きだった。怒りを消すことはできなくても、誰へ何を尋ねるかは定められる。広場の掲示は翌日も風に揺れていた。




