六枚の毛布
厳しい冷え込みの前夜、サラがミラの戸を叩いた。独り暮らしのオル婆の寝具が濡れ、替えの毛布がないという。倉庫には六枚の毛布があったが、どれも持ち主が決まっている。村の共有物ではない。ミラは夜更けに家を回り、一枚だけ今夜貸してもらえないか尋ねた。借りる時は返す日を言い、洗う役も引き受けた。
レアは毛布の乾かし方を教えた。火に近づけすぎると焦げ、外へ吊るせば霜を吸う。粉屋の二階で温かな空気を回す方法を試すと、ゆっくり水気が抜けた。オル婆は借りた毛布を胸に寄せ、「昔は人に頼らず暮らせた」と悔しそうに言った。ミラは「今夜は私も手を借りました」と答えた。
毛布を借りた夜、オル婆は寝返りを打つたびに古い羊毛の匂いを感じた。亡くした夫が若い頃に使っていた毛布と似ていると言う。ミラは返す時に洗う約束を伝えたが、彼女は「借り物なら丁寧に使うさ」と笑った。寒さを防ぐ物には、持ち主の時間が染み込んでいる。共有の棚へ何でも集めてよいわけではなかった。
翌日、レアは乾かしている布の温度を確かめ、薪をこれ以上使わずに済む時間を探った。ヨレンは粉屋の二階をいつまで貸せるか考え、麦挽きの邪魔にならない区画を示した。人助けのために誰かの仕事場を当然のように使うことはしない。ミラは借りた時間まで小さな紙へ記し、礼を伝えに行った。
翌日、毛布の持ち主は礼を断った。代わりに困った時に借りられる仕組みを欲しがった。ミラは貸せる品物と貸せない品物の札を作り、持ち主自身が掛け替えるようにした。誰かの善意を村の財産のように扱わないためだった。六枚は六枚のままでも、必要な晩にどこへ行けばよいか分かれば、寒さの中で迷う時間を減らせる。




