橋を渡らない日
村の南には小川があり、低い木橋が一つ架かっていた。水の少ない時は問題ないが、雨が二日続くと板の下へ枝が詰まる。ミラは橋の中央の釘が浮いているのを見つけた。荷車の車輪がそこへ落ちれば、川に倒れる恐れがあった。商人が次に来るまでには直したいが、木工職人ギルにも他の仕事がある。
村長は橋を使わない日を作ればよいと言った。だが南側の畑へ通う農夫はそれでは困る。ミラは農夫ハロルドと橋を歩き、歩行者だけ通せる時間と荷車を止める時間を分けた。遠回りの渡り場にはオスカーが同行し、浅瀬の石を確かめた。足の弱い者には無理な道だったから、薬草や食料の運搬は北岸に一時まとめた。
荷車の通行を止めた日、ハロルドは荷を半分ずつ運ぶ羽目になった。苛立つ声を聞きながら、ミラは村で共有できる運搬日を作れないか考えた。ただ一台の荷車に荷をまとめれば、誰かの都合が合わなくなる。そこで急ぐ物と待てる物を分け、橋を使わない北の道を通る荷だけを一緒に運んだ。負担は消えないが、空の荷車を何度も走らせる無駄は減った。
橋の下には魚が泳いでいた。ルークは危険を知らせる赤布を見て、向こう岸へ行けないのがつまらないと言った。オスカーは壊れた板を指し、何が危ないのか目で見せた。理由を知らずに止められれば、子どもは抜け道を探す。納得したルークは、帰り道でほかの子にも橋の下の傷を説明していた。
修理の日、ギルは板を一枚剥がして顔を曇らせた。見えない裏側で木が腐っていた。全面的な架け替えには材木が要る。ミラは冬の間、荷車の通行を止める案を村へ伝えた。不便だと怒る人もいた。それでも壊れるまで使うより、渡れないことを早く知るほうがいい。橋の両端に赤い布が結ばれ、そこから先へ車輪の跡は続かなくなった。




