川向こうの食卓
グレサから数軒分の乾燥豆が届いた。以前、ハルヴェが貸した種への返礼だという。ところが豆の一部は湿り、保存に向かなかった。サラは受け取りを断るべきか迷い、ミラはまずグレサの作り手へ状態を伝えることにした。贈り物だからと黙っていれば、次も同じ困りごとが起きる。
グレサの村長は面目を失ったと感じたが、種を返す約束と食料を贈る気持ちは別だと説明した。ハルヴェには使える分だけを食事へ回し、残りは安全を確認して処分する判断が必要だった。豆を送った家には、湿りの原因を調べるため袋の状態を知らせた。
リネは袋の縫い目が雨に弱い位置だったことに気づいた。レアは同じことが自分の仕事でも起こり得ると認め、次の袋では底に水が溜まらない作りを試す。グレサの女性たちも、それなら自分たちで直せると言った。
豆を乾かした家では、前の冬に屋根が一部壊れたままだった。贈り物を送るために新しい棚を買う余裕もないという。レアは乾燥袋の図を添え、グレサの作り手は自分たちの梁に合う形へ直すと言った。今後の返礼を増やそうという話には、ミラが慎重だった。助け合いは贈り物の数を競うことではない。サラは豆汁の器を洗い、次は村で余った干し蕪を少しだけ持たせようと考えたが、倉庫の分を勝手には決めなかった。
グレサへ送る次の知らせには、豆の味がよかったことも忘れずに添えた。欠点だけが返事ではなかった。
数日後、乾いた豆で作った汁がサラの鍋に並んだ。ハルヴェの麦とグレサの豆が同じ器に入ったことを、誰かが大袈裟に祝ったりはしなかった。ミラは温かな湯気を見て、助け合いが上手くいく時も、間違いを伝える勇気が要ると知った。




