切れた縄の先
山道の荷を支える縄が一本切れ、箱が雪の斜面を滑った。人に当たらずに済んだが、中の陶器が割れた。運び手は縄が古いと知りながら交換を後回しにしていた。自分で弁償すると言ったが、フェルンは使用を認めた荷主の責任もあると考えた。
セランが残りの縄を確かめると、見た目に丈夫でも芯が傷んだものがあった。村の縄をすべて交換する費用はない。ミラは危険な作業に使う縄だけ先に選び、軽い荷の結び方も見直すよう頼んだ。危険を隠して安く済ませるつもりはなかった。
割れた器の持ち主は、代金より家族へ贈るつもりだった一枚の皿を惜しんだ。レアが綺麗な破片を残して飾りにできないか提案したが、縁で手を切る危険がある。持ち主は壊れたままでよいと言い、布に包んで受け取った。
縄を買い足そうとしたフェルンは、市で安価なものを見つけた。しかし売り手はどれほど重い荷に耐えるか知らず、断面も揃っていない。安さだけで選ぶのは危険だと運び手が教えた。セランは荷に使わない結束用なら回せるかもしれないと考えたが、紛れれば事故につながる。用途を色糸の印で分け、丈夫さを確かめていない縄は運搬具の棚に置かないことにした。若者は古い縄をもったいないと言い、軽い作業で使えるか別に相談した。
紐の印が擦れて消える場合もあると分かり、棚の置き場そのものも分けた。若者は使用前に人へ確かめる習慣を覚えた。
夜、運び手は縄の繊維をほどき、切れた理由を教わった。フェルンは運賃の記録に、古い道具を使った経緯を書き残した。ミラは損失が陶器で済んだことに安堵した。次は誰かの命かもしれない。冬の斜面には、交換を待つ縄を残さなかった。




