↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
221/240

鐘の鳴らない昼

昼過ぎ、鐘の吊り金具にひびが見つかった。夜番の合図には欠かせないが、修理に上れば落下の危険がある。ギルは鐘を一時的に外すことを勧めた。ベルクは今夜だけでも使えないかと迷ったが、壊れた金具へ人を近づけるわけにはいかない。


オスカーは灯と戸口の確認で交代する手順を思い出した。ただし雪が深ければ灯は見えにくい。そこで見張りの者同士が直接会う地点を変え、屋根のある小屋で引き継ぐことにした。伝言は家々にも回されたが、老人の住む一軒へ届いていないことが分かった。


ルークが知らせようと走り出し、ミラは足を止めた。雪の道を子ども一人に急がせるのは本末転倒だ。二人で歩き、老人に事情を伝えた。老人は鐘が鳴らないなら朝寝坊できると笑ったが、危険の知らせがない場合の合図は必要だと助言した。


鐘を地面に降ろす時、職人たちは綱を二本使い、一度に重さを掛けないよう声を合わせた。通りがかった人が見物しようと集まり、オスカーが安全な距離を取ってもらった。作業を急がせる声はなかった。鐘の底に古い刻印が見つかり、ベルクは先代の村長が寄付したものだと教えた。ミラは壊れた金具だけでなく、長い間使われてきた道具そのものを傷つけずに済んだことに安堵した。修理先を探す間は、屋根のある場所に保管することになった。


縄を扱う職人は、昼食を済ませてから慎重に続きを始めた。空腹のまま作業を急ぐ理由はなかった。


翌日、鐘は外されて地面に置かれた。村には昼の時を告げる音がなくなり、作業場の人が空を見て食事へ向かった。ミラは鐘が戻る日を急かさなかった。静かな昼にも仕事は進む。音のない間に、誰が誰へ知らせを運ぶのかがよく見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。