冬の収支
共同倉庫の在庫が減り、ベルクは春まで足りるか不安になった。エダは毎日の受け渡しと食事の分を計算し直した。数字だけなら残る見込みだが、雪で市への道が閉じれば塩や油は買えない。ミラは食料と燃料を同じ『備蓄』として並べていたことに気づいた。
サラは鍋に使う薪が増えていると話し、ニコは家畜の敷料を節約しすぎないよう求めた。レアの仕事場にも乾かすための燃料が要る。各家が少しずつ譲れば済むと思ったが、その『少し』が毎日の負担になる人もいる。
備蓄表の燃料の欄を増やすと、各家が使う薪の長さや乾き具合が違うことが分かった。数を束で比較しても意味が薄い。ギルは薪棚の大きさを見ておおよその使える量を調べる方法を教えたが、数えられない分には幅を持たせた。エダは計算に余裕を入れることで安心を売ろうとはしなかった。見込みが外れた時に誰へ最初に知らせるかも、台所と家畜小屋の担当に決めておいた。
村会議では、減らせる消費と減らせない消費を分けた。暖を取れない家へ無理な節約を命じず、空き部屋の暖房を止める日を決めた。売るための麻袋も、冬の間は乾燥工程を急がない。フェルンは注文先に説明してくると引き受けた。
サラは大鍋の底を見せ、少なく作っても同じように温める手間があると言った。燃料を減らすという言葉だけでは、料理の負担は消えない。ベルクは節約の指示を出す前に台所で話を聞くと決め、翌朝の支度へ出向いた。
終わりにミラは、足りると断言できない物を『足りる』と書かないよう頼んだ。ベルクは頷き、在庫表の端に天候次第の欄を設けた。窓の外では雪が降り始めていた。何も増えない日の計算でも、誰が寒い思いをしないかを決めることはできた。




