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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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息をする布

レアの仕事場で、窓を閉め切ったまま染め糸を乾かしていたことが分かった。部屋の湿り気が強くなり、リネの手荒れも悪化している。寒いから仕方ないと皆は思っていたが、壁に黒い染みが出始めた。ギルは木材が傷む可能性を指摘し、レアは完成前の品をどう守ればよいか困った。


ミラは糸を屋外へ出せばよいと言いかけ、雪が降れば凍ると気づいた。レアは乾燥棚を火から離した風通しのよい部屋へ移し、少ない束で試すことにした。以前、強く染めた糸は日光で色が褪せた。温度だけでなく湿度や光も見なければならない。


移した乾燥棚は、雨の日に窓を閉めると再び湿りがちになった。レアは天候ごとに場所を替える面倒さを嫌がったが、同じ棚に全てを任せられないことも分かっていた。リネが小さな布を二か所に吊り、乾く速さを比べた。濡れた布の変化は数値にならなくても、作業する人に風の違いを教えた。セランは壁の傷みを調べ、修理するなら乾いた季節まで待つ方がよいと伝えた。仕事場の改良は今日で完成とはならなかった。


リネは水に触れる作業から外れ、糸を巻く役を担った。新しく来た母親が染めに興味を示したが、レアは染料の扱いを説明する余裕がない日には頼めないと伝えた。仕事が増えたからといって、教える時間が無限にあるわけではない。


二日後、棚の糸は以前よりゆっくり乾いたが、嫌な匂いは減った。レアは売る予定を変更し、商人へ遅れを知らせた。ミラは壁の染みをすぐ消せないと知りつつ、部屋に風の通り道が戻ったことにほっとした。守るべきものは商品だけではなく、そこに座る人の息でもあった。

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