賃金の影
冬の短い仕事を求める旅人が増えた。家を修理したい村人は人手を歓迎したが、賃金を下げれば多く雇えるという意見が出る。セランは同じ仕事でも慣れた人と初めての人では速さが違うと語った。ミラは安い人を集めるだけでは、事故が増えるかもしれないと考えた。
ベルクは村が払える金額を示した。十分とは言えない。旅人の一人は食事が出るなら安くてもよいと言ったが、別の者は家族へ現金を送りたい。本人によって必要な対価は異なり、同じ条件を押し付けるわけにはいかなかった。
仕事を分ける際、旅人の一人が高所での作業経験を誇った。しかし持参した靴の底は磨り減り、凍った屋根へ上れそうにない。ギルは技術を疑うのではなく、足元の道具を理由に仕事を変えてもらった。男は面白くなさそうだったが、木材の寸法を測る役へ回ると正確な目を持っていることが分かった。無理に危険を引き受けさせなくても、腕の立つ人には働く場所があった。ミラは作業が終わった後、男に次の仕事の希望を聞いた。
ギルは修理の経験がある者だけを危険な足場へ上げ、初めての者には材料を運ぶ仕事を頼んだ。作業の初日に説明する時間も賃金に含めることにすると、村の予定額は少し増えた。注文を減らしても安全を守る方がよいと、依頼した家の主が言った。
夜、仕事を終えた旅人は食事を受け取った後、銅貨を数えて胸の袋へしまった。ミラはその人がどこへ送る金か尋ねなかった。村の仕事は誰かの暮らしを支える一方、払う側の負担にもなる。毎日続けられる約束を一つずつ確かめることが、雇う人と働く人の両方を守っていた。




