冬の相談椅子
谷の使者とグレサの牧夫が同じ日に村へ来て、ベルクの家の狭い部屋で順番を待つことになった。片方は水、片方は境界の相談で、先に着いた者も急いで帰りたい理由があった。ベルクは仕事を一度に片付けようとしたが、話題が混ざり、記録も錯綜し始めた。
ミラは相談を受ける日を分ける案を示した。しかし峠を越えて来る者には、都合のよい日に再訪できない事情がある。エダは二人の話を一枚の帳面に書かず、別々の紙へ分けた。ベルクは急いで結論を出さず、今日決められることと持ち帰って確かめることを整理した。
谷の使者は急ぐ水の報告を終えると、隣室でひと息ついた。そこへグレサの牧夫が羊の話を持ち込んだが、使者は自分には分からないと正直に答えた。ニコなら少し相談に乗れると分かり、翌日の時間を伝える。ベルクは一人で全て答えようとしていた自分に気づいた。椅子に座る人が違えば、聞くべき相手も変わる。ミラは村長の役目を減らしたいのではない。役目のためにベルクが一人で倒れる日を作りたくなかった。
牧夫は、川岸の草を誰が刈ってよいか尋ねた。谷の使者は、自分の村ではそのような話を冬の間に皆で決めると言う。互いに参考になる話もあったが、土地の事情は違った。ミラは二人が聞きたくない内容まで同席させないよう、話す順番を確かめた。
帰り際、ベルクの家の椅子が一脚壊れた。ギルは修理するより先に、待つ人を寒い廊下へ立たせない方法を考えた。サラが隣室を貸し、温かな水を置いてくれた。ミラは椅子の数を数えながら、よその村とのつながりが増えるほど、自分たちの時間の使い方も問われると知った。




