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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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橋を渡らない客

郡都の行商人が、橋の向こうへ荷を届けたいと頼みに来た。遠回りは商売にならず、少しだけなら古い橋を歩いて越えられるだろうと言う。見張りの青年は拒んだが、商人は通行料を払うと持ち掛けた。若者は困り、ミラを呼びに走った。


ミラは料金の問題ではないと伝えた。橋を通れる状態と認めたわけではない。商人は他の村では目をつむってくれると不満を漏らしたが、ギルが傷んだ橋脚を安全な場所から示すと黙った。無理をして渡れば、本人だけでなく助けに行く人も危険になる。


商人は初め、見張りの青年が賄賂を欲しがっているのではないかと疑ったらしい。青年はそんなつもりはないと強く否定し、互いの声が荒くなった。ベルクが間に入り、通行の判断を一人の見張りへ押し付けないことを改めて伝えた。帰る商人へは、止めている橋の状態を記した紙を渡した。別の荷主へも事情を説明できるようにするためだ。青年は翌日の当番表を見て、自分の名前があることにほっとした。


商人の荷は薬草を入れた箱だった。届け先のグレサでは必要としている人がいる。ニーナは急ぐ病人がいるか確かめたいと言い、グレサの産婆へ連絡を取った。荷を翌日へ回せると分かり、フェルンが峠を回る別の運び手を探した。余分な運賃は商人と受け取り側が相談することになった。


商人は出発する時、見張りの青年へ気まずそうに頭を下げた。青年は料金を断ったことを褒められるより、判断を一人で抱えなくて済んだと話した。オスカーは次から相談先をすぐ呼べるよう、見張り小屋へ連絡木札を掛けた。ミラは渡らなかった橋を振り返った。今日は何も運ばないことが、誰かを守る選択になった。

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