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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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井戸底の地図

谷の村から届けられた新しい水位表には、井戸の深さだけでなく、周辺の坂と湿った地面の場所が描かれていた。水汲み役の少女が井戸へ向かう道で何度も靴を濡らし、地面の違いに気づいたのだという。ミラはその絵をギルと眺め、谷へ水源の調査を頼む専門家を探せないか考えた。


バルドは地下水の流れを地表だけで決められないと話した。しかし井戸から離れた場所で雪解け前に水がにじむなら、周囲の地形を確かめる価値はある。谷の人々は自分で穴を掘るつもりだったと聞き、ミラは危険な作業を始めないよう急いで返事を書いた。


谷の少女は、絵を描く紙がもったいないと言われたこともあったという。使者は大人が見落とした水のにじみを知らせてくれたのだから、紙代は無駄ではないと考え直した。ミラは手紙の返事に、絵のどの部分が調査の役に立ったか具体的に書いた。褒め言葉だけでは、何を続ければよいか伝わらない。谷では少女が水汲みの帰りに同じ道を歩き、毎回地面の色を比べ始めたと後に知らせが届いた。


手紙を託した宿主は、谷までの道が雪で閉じる日があると知らせた。水の調査も冬の道が使えなければ進められない。ニコは家畜の水を節約するという話を心配したが、谷の使者からは羊の飲み水まで奪わないと返事があった。


数日後、谷の村では湿った地面を囲い、子どもを近づけずに観察を始めたという知らせが届いた。湧水が見つかったと喜ぶには早い。けれど井戸の水位だけを見る頃より、調べられることは増えた。ミラは少女が描いた曲がった坂道をなぞり、知らない土地から届いた一枚の絵に、そこに暮らす人の目を感じた。

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