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村づくりは、麦を数えるところから――ハルヴェ村のミラ  作者: 竜太郎


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木立の向こう

山道の見張りから、木立の向こうに不審な火が見えると知らせがあった。オスカーは人を集めたが、追い払うための武器は持たせなかった。火の位置は禁じられた焚き火場所に近い。ミラはまず遠くから声が届く距離を探し、近づきすぎないよう頼んだ。


火を焚いていたのは峠で荷車が壊れた三人の旅人だった。寒さに耐えられず枝を集めたが、森林火災の危険を知らなかったという。フェルンが知る商人の一行で、盗賊ではなかった。それでも無断の焚き火を許してよいとはならない。オスカーは安全を確かめて火を消してもらい、村への道を案内した。


旅人のうち一人は、火を消したあとも荷車に残した品を気にしていた。湿気に弱い布があり、夜の雪で傷むかもしれないという。レアは村の棚を一部貸せるか考えたが、そこには注文品が並ぶ。別の空いた隅を確かめ、持ち主の名前を札に書いた上で一夜だけ預かった。翌朝、旅人は布の状態を見て礼を言った。助ける相手の荷が何かを知らずに、置き場所を約束できないとミラは感じた。


宿に空きはなかった。サラは温かな汁を出せても寝場所までは約束できないと告げた。旅人たちは自分たちの荷車に残る毛布を使い、村の軒下を借りて一夜を過ごすことになった。ベルクは持ち主の同意を確かめ、火を使わない条件を伝えた。


翌朝、旅人の一人は落ちた木の枝を拾い集めて返した。セランは壊れた車軸を見て、自分の仕事が詰まっているため数日は修理できないと言った。ミラは善意で何でも引き受けるつもりはなかった。それでも冬の山へ無事に戻れる日に出発できるよう、別の修理人を探す手伝いだけはした。

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