測量師の靴
橋の調査を引き受けるかもしれない測量師が、郡都から村を訪れた。馬を降りた男は川より先に、自分の靴の泥を見て顔をしかめた。村人の一人が都会の人間には分からないと囁いたが、測量師は凍った路面では器具を運べないと説明した。仕事の安全に関わる話だった。
バルドが川岸の図を示すと、測量師は古い橋脚の位置と、雨の増水跡が一致しないことに気づいた。橋を元通りに架ければ済むとは言えない。ベルクは費用を尋ねたが、調査の範囲が定まらなければ見積もれないと返された。
測量師が持参した器具は、子どもには見慣れないものだった。ルークが近寄ると、男は触らせず、石の上へ目盛りを合わせる様子だけ見せてくれた。器具が高価だからではなく、ずれた数字を正しいと思い込むのが怖いのだという。バルドは昔、目印を一つ取り違えて石壁の位置を誤った職人の話をした。ミラは見たことのない技術へ期待しつつ、道具の向こうにも確かめる人の慎重さが要るのだと知った。子どもには翌日、測量師が帰った後の安全な地面へ自分たちの目印を描かせた。
ミラはこれまで通行止めを守った理由と、村人が危険を知らせた記録を渡した。測量師は丁寧だと褒めた後、手書きの水位が同じ地点で測られたか確認した。途中で印の位置を変えた記録が見つかり、何枚かは比較できないと判明した。エダは落胆したが、男は不確かな数字を先に見つけられたことを評価した。
帰りの馬車が出る前、測量師は安全な場所から川をもう一度眺めた。来月までに調査の条件を書いて返すという。約束は工事でも資金でもなかったが、ベルクは受領印を押した。ミラは男の泥の付いた靴を見送り、必要なのは誰かが勇ましく橋を渡ることではなく、川の危険を正しく知ることだと思った。




